top of page

腹圧って何?腰を守る“体の内側のコルセット”と骨盤底筋・ドローインの話

  • 7月29日
  • 読了時間: 6分

「腰が不安で立ち上がる時にこわい」「前かがみになると腰が張りやすい」「姿勢を保つのがつらい」「尿漏れが少し気になる」

このようなお悩みはありませんか?

こうした時に関係することがあるのが、腹圧(ふくあつ)です。腹圧とは、お腹の中の圧を使って、体幹を内側から支える働きのことです。

わかりやすく言うと、腹圧は腰まわりを支える“体の内側のコルセット”のような存在です。ベルトやコルセットで外から支えるのではなく、お腹・背中・呼吸・骨盤まわりの筋肉が協力して、内側から腰を守るイメージです。


腹圧とは腰と骨盤を内側から支えるコルセットのような働きで、骨盤底筋・インナーマッスル・呼吸が関係することを説明した画像。

腹圧は、インナーマッスルのチームワーク

腹圧は、ただお腹に力を入れることではありません。

関係するのは、

  • 横隔膜(おうかくまく)

  • 腹横筋(ふくおうきん)(お腹の深い筋肉)

  • 多裂筋(たれつきん)(背骨を支える筋肉)

  • 骨盤底筋(こつばんていきん)(骨盤の底を支える筋肉)

といった筋肉たちです。

これらがうまく協力すると、お腹まわりに適度な圧が生まれ、腰部や骨盤が安定しやすくなります。特に腹横筋は、お腹を横から包むように支える筋肉で、インナーマッスルの代表的な存在です。

また、腹圧の“上”を支えるのが横隔膜、“下”を支えるのが骨盤底筋です。つまり腹圧は、お腹だけの話ではなく、呼吸と骨盤底筋まで含めた体幹の働きとして考えることが大切です。


腹圧に関わる横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋の4つの働きを、体幹を支えるチームとして説明した図解画像。


腹圧が入りにくいと、腰だけが頑張りやすくなります

腹圧がうまく使えないと、動作のたびに腰が単独で頑張りやすくなることがあります。

たとえば、

  • 椅子から立ち上がる

  • 前かがみになる

  • 物を持つ

  • 寝返りをする

  • 歩く

  • とっさに体を支える

このような時に腹圧が入ると、体幹が安定しやすくなります。反対に、腹圧が入りにくいと、背筋ばかりが優位になりやすく、腰まわりの筋肉だけで支えようとしやすくなります。

さらに、腹圧が十分に高まらない状態では、筋肉で支えきれず、骨や靭帯、関節などの受け身の組織に負担が集まりやすくなることがあります。その結果、腰部の関節や靭帯にストレスがかかり、腰痛につながる場合があります。

また、このような負担が続くと、椎間板や関節へのストレスが増えやすくなることもあります。もちろん、腰痛の原因は一つではありませんが、腹圧の使いにくさが腰の負担の一因になることはあります。


腹圧が入りにくい状態では背筋や腰部に負担が集まりやすく、腹圧が使えると体幹で支えやすいことを比較した画像。

腹圧の“底”を支える骨盤底筋

腹圧を考える時に欠かせないのが、骨盤底筋です。

骨盤底筋は、骨盤の底にある筋肉で、膀胱や子宮、直腸などを下から支える役割に関係します。腹圧がかかった時に、下から支える“床”のような存在です。

この骨盤底筋が働きにくくなると、咳やくしゃみ、立ち上がり、重い物を持つ時などに尿漏れが気になる方もいます。

尿漏れというと高齢の方だけの悩みに思われがちですが、実際には、

  • 出産

  • 加齢

  • 肥満

  • 姿勢の崩れ

  • 運動不足

などが関係することもあります。そのため、若い世代も含めて無関係とは言えません。


トレーニング① 骨盤底筋を意識したヒップリフト

骨盤底筋を意識する練習として取り入れやすいのが、足の間にクッションや丸めたタオルを挟んだヒップリフトです。

【画像挿入位置②:骨盤底筋トレーニング画像】※足の間に物を挟んで行うヒップリフト

やり方

  1. 仰向けに寝て、膝を立てる

  2. 両足の間にクッションや丸めたタオルを軽く挟む

  3. 足で軽く挟みながら、お尻を持ち上げる

  4. その時に、**“おしっこを止めるような意識”**で骨盤の底を軽く締める

  5. 3〜5呼吸ほどキープして、ゆっくり下ろす

ポイント

  • お尻を高く上げすぎなくて大丈夫

  • 腰を反らせるのではなく、お尻を持ち上げるイメージ

  • 息を止めない

  • 力みすぎない

  • 痛みのない範囲で行う

“おしっこを止めるような意識”は、骨盤底筋をイメージするためのヒントです。ただし、日常的に排尿を我慢することをおすすめする意味ではありません。


足の間にクッションを挟んでヒップリフトを行い、骨盤底筋を意識しながら骨盤の底から支える感覚をつかむトレーニング画像。

トレーニング② 腹横筋を意識するドローイン

腹圧を高める練習として、初心者の方でも取り組みやすいのがドローインです。

ドローインは、腹式呼吸を使いながら、横隔膜も意識しつつ、お腹をやさしくへこませる運動です。

【画像挿入位置③:ドローイン画像】※呼吸とともにお腹を軽くへこませるイメージ

やり方

  1. 仰向け、または椅子に座った姿勢で楽に構える

  2. 鼻から息を吸う

  3. 口からゆっくり息を吐きながら、お腹をやさしくへこませる

  4. お腹の前だけでなく、脇腹も軽く締まる感覚を意識する

  5. 呼吸を止めずに数回くり返す

ポイント

  • 強くへこませすぎない

  • 胸や肩に力を入れすぎない

  • 腰を反らない

  • 「薄いお腹を作る」より、「体幹をやさしく支える」イメージ

  • 息を吐くことを大事にする

ドローインは、腹横筋を意識しやすくするきっかけになります。呼吸と一緒に行うことで、横隔膜も含めた腹圧の使い方を練習しやすくなります。


鼻から吸って口からゆっくり吐きながらお腹をやさしくへこませ、腹横筋と横隔膜を意識するドローインの説明画像。

大切なのは、無意識でも腹圧が使えるようになること

腹圧は、意識して入れる練習だけで終わりではありません。本当に大切なのは、とっさの動きの時にも無意識で腹圧が使えることです。

たとえば、

  • ふと立ち上がる時

  • 急に向きを変える時

  • 少し重い物を持つ時

  • バランスを崩しそうになった時

こうした場面で腹圧が自然に使えると、腰部への負担を減らしやすくなります。

一方で、腹圧を使う意識が弱くなると、背筋だけが頑張るパターンが習慣になりやすくなります。そのため、最初は意識して練習しながら、少しずつ“無意識でも使える状態”を目指していくことが大切です。


MoveCareでは、腹圧の使い方をやさしく確認します

MoveCareでは、腰が不安な方や姿勢が気になる方に対して、腰だけを見るのではなく、

  • 呼吸の浅さ

  • 骨盤の傾き

  • 立ち上がり方

  • 背筋に頼りすぎていないか

  • お腹まわりの使い方

  • 骨盤底筋を意識しやすいか

などを確認しながら、無理のない運動をご提案します。

「腹圧を入れる」と言われても、実際には感覚がわかりにくい方も少なくありません。だからこそ、強い運動の前に、呼吸・骨盤底筋・腹横筋をつなげる練習から始めることが大切です。


まとめ

腹圧は、腰まわりを支える“体の内側のコルセット”のような存在です。そして、その働きには腹横筋、横隔膜、骨盤底筋などが関係しています。

今回のポイントは3つです。

  1. 腹圧は、腰と骨盤を内側から支える働き

  2. 骨盤底筋トレーニングやドローインは、腹圧を意識するきっかけになる

  3. 大切なのは、無意識でも腹圧が使えるようになること

腰痛が気になる方、体幹を安定させたい方、尿漏れが少し気になる方は、まずはやさしい練習から始めてみましょう。


執筆者

理学療法士:株式会社ループネス代表取締役

bottom of page