ストレートネックは首だけの問題ではありません
- 7月4日
- 読了時間: 8分
肩こり・頭痛・自律神経の乱れが気になる方へ
「最近、首が前に出ている気がする」「スマホを見たあとに首や肩が重い」「肩こりだけでなく、頭痛や疲れやすさもある」「寝つきが悪く、体がリラックスしにくい」
このようなお悩みがある方は、いわゆるストレートネックの状態になっているかもしれません。
ストレートネックとは、首の骨である頚椎の自然なカーブが少なくなり、横から見たときに首がまっすぐに近づいている状態を指すことが多いです。
ただし、ここで大切なのは、ストレートネック=首だけが悪いと考えないことです。
実際には、スマホを見る姿勢、猫背、肩甲骨まわりの硬さ、胸まわりの動きにくさ、バッグの持ち方、呼吸の浅さなどが重なり、首に負担が集中しているケースが少なくありません。
つまりストレートネックは、首だけの問題というより、体全体の姿勢バランスが崩れているサインと考えた方がわかりやすいです。

なぜスマホ姿勢で首に負担がかかるのか
私たちの頭の重さは、成人でおよそ5〜6kgあるといわれています。正面を向いている姿勢であれば、この重さを首だけでなく背骨全体で支えることができます。
しかし、スマホを見るときのように首が前に傾くと、頸部にかかる負担は一気に大きくなります。
首を30度ほど前に傾けると約15〜18kg、45度ほど傾けると約20〜24kgの負担がかかるとされます。頭の角度が増えるほど、頚椎にかかる力が大きくなることは、Hansrajの研究でも示されています。
つまり、スマホを見ているだけでも、首にとってはかなりの重労働です。首からしたら「今日も残業ですか?」という状態です。
この姿勢が長時間続くことで、首の後ろ側の筋肉、肩まわり、背中に負担がかかりやすくなります。
その結果、次のような不調につながることがあります。
・首こり・肩こり・頭痛・背中の張り・目の疲れ・呼吸の浅さ・寝つきにくさ・疲れが抜けにくい感覚
特に、首が前に出た姿勢では、首や肩まわりの筋肉の働き方が変化しやすいことも報告されています。前方頭位姿勢では筋活動や筋バランスに影響が出るため、首だけでなく肩甲骨や胸郭まで含めて考える必要があります。

ストレートネックと自律神経の関係
ストレートネックというと、首こりや肩こりのイメージが強いかもしれません。
しかし、首まわりの負担が続くと、「なんとなく疲れやすい」「眠りが浅い」「呼吸が浅い」「リラックスしにくい」といった不調を感じる方もいます。
ここで関係してくるのが、自律神経です。
自律神経は、呼吸、血流、体温調節、発汗、内臓の働き、睡眠リズムなどを調整している神経です。
専門的にいうと、交感神経の中枢は主に胸髄から腰髄にあります。首の近くには頚部交感神経節などの経路もあり、首まわりの筋肉や関節、姿勢、感覚情報は、自律神経の働きと関係しながら体の状態を調整しています。
そのため、首が前に出た姿勢が続き、首や肩まわりの筋肉が緊張し続けると、単なる筋肉の問題だけではなく、神経系の働きにも影響する可能性があります。
実際に、前方頭位姿勢の人では、正常な頭部アライメントの人と比べて、感覚運動制御や自律神経機能に違いがみられたという報告があります。
ただし、ここは正確に理解する必要があります。
ストレートネックが必ず自律神経失調症を起こすという意味ではありません。
正しくは、首まわりの負担や姿勢の崩れは、自律神経の働きと関連する可能性があるということです。
この違いはとても大切です。断定しすぎると、一気に怪しい健康情報になります。MoveCareとしては、そこには乗りません。
首だけを揉んでも戻りやすい理由
肩こりや首こりがあると、つい首や肩を揉みたくなります。
もちろん、一時的に楽になることはあります。しかし、首が前に出る姿勢そのものが変わっていなければ、また同じ場所に負担がかかります。
ストレートネック対策で大切なのは、首だけではなく、次の3つを整えることです。
1. 胸を開きやすくする
猫背で胸が硬くなると、首は前に出やすくなります。胸まわりが硬いままだと、首だけで姿勢を戻そうとしても限界があります。
2. 肩甲骨を動かしやすくする
肩甲骨が動きにくいと、首や肩の筋肉が過剰に働きやすくなります。肩甲骨がスムーズに動くことで、首への負担を分散しやすくなります。
3. 首を支える深い筋肉を使えるようにする
首の表面の筋肉ばかりが頑張っていると、こりやすい状態になります。あごを軽く引く動きや、頭の位置を整える練習が大切です。
前方頭位姿勢に対する運動療法については、頚椎の角度改善や首の痛みの軽減に一定の効果が示されています。ただし、単独の運動だけで全て解決するというより、姿勢教育、ストレッチ、筋力トレーニング、生活動作の見直しを組み合わせることが重要です。
バッグはリュックがおすすめです
ストレートネックや肩こりが気になる方は、スマホ姿勢だけでなく、バッグの持ち方も見直してみましょう。
片側だけでバッグを持つ習慣があると、肩の高さに左右差が出たり、首・肩まわりの筋肉が片側だけ緊張しやすくなります。
特に、重たいショルダーバッグや手提げバッグをいつも同じ側で持つ方は注意が必要です。
おすすめは、できればリュックです。
リュックは両肩に重さを分散しやすく、片側の首や肩だけに負担が集中しにくくなります。
ただし、リュックなら何でも良いわけではありません。
肩ひもが長すぎて、リュックが腰の方まで下がっていると、体が後ろに引っ張られます。そのバランスを取ろうとして、逆に頭が前に出やすくなることがあります。
リュックを使うときは、次の3つを意識しましょう。
・肩ひもを長くしすぎない・リュックを背中に密着させる・荷物をできるだけ軽くする
リュックは良い選択です。ただし、だらんと背負うリュックは、姿勢改善どころか姿勢崩れの共犯者になることもあります。
バッグの種類だけでなく、持ち方、重さ、背負う位置まで見直すことが大切です。

簡単セルフチェック
自分の頭の位置を確認したい方は、壁を使ってチェックしてみましょう。
壁に背中を向けて立ち、かかと・お尻・背中を壁につけます。その状態で、後頭部が自然に壁につくか確認します。
無理なく後頭部が壁につけば、頭の位置は比較的整っています。一方で、後頭部が壁につきにくい、あごが上がってしまう、首がつらいという場合は、頭が前に出やすい姿勢になっている可能性があります。
ただし、このチェックだけで診断はできません。痛みやしびれがある場合は、無理に行わず、医療機関や専門家に相談してください。

今日からできるストレートネック対策
あごを軽く引く
椅子に座り、背筋を軽く伸ばします。顔を下に向けるのではなく、あごを後ろに引くようにします。
首の後ろが軽く伸びる感覚があればOKです。強く引きすぎる必要はありません。
目安は5秒キープを5回程度です。
胸を開く
両手を後ろで軽く組み、胸を開きます。肩をすくめず、肩甲骨を軽く寄せるようにしましょう。
スマホやパソコン作業が多い方は、胸の前側が硬くなりやすいため、この動きはとても大切です。
肩甲骨を回す
両肩をゆっくり後ろに回します。ポイントは、肩だけでなく肩甲骨が動いている感覚を持つことです。
肩甲骨が動くと、首や肩まわりの負担が分散しやすくなります。
スマホの位置を少し上げる
スマホをお腹の前で見ると、どうしても頭が下がります。目線の高さに少し近づけるだけでも、首への負担は変わります。
完璧な姿勢を目指す必要はありません。まずは「気づいたら戻す」くらいで十分です。

こんな症状がある場合は注意してください
次のような症状がある場合は、セルフケアだけで様子を見るのではなく、医療機関への相談をおすすめします。
・手や腕のしびれがある・手に力が入りにくい・強い痛みが続く・めまいや吐き気を伴う・夜間も痛みが強い・転倒や事故のあとから痛みが出ている
ストレートネックのように見えても、神経症状や別の疾患が隠れていることもあります。無理なストレッチや自己判断は避けましょう。
MoveCareでは、首だけでなく姿勢全体を見ます
ストレートネックの悩みは、首だけを見ると解決の糸口が見えにくいことがあります。
MoveCareでは、理学療法士の視点から、首・肩・背中・胸郭・姿勢のつながりを見ながら、無理なく体を整えるサポートを行っています。
運動が苦手な方でも大丈夫です。いきなりきついトレーニングをするのではなく、まずは座って体を整えたり、簡単なストレッチや姿勢の確認から始めることができます。
MoveCareは、健康になりたいけれど運動が苦手な方に対して、座って参加できるプログラムや専門性のある健康情報を提供することを重視しています。
「整体やマッサージに行っても、また戻ってしまう」「肩こりや首こりを根本的にどうにかしたい」「姿勢を改善したいけど、何から始めたらいいかわからない」「首こりだけでなく、頭痛や睡眠の質も気になる」
そんな方は、一度ご相談ください。
ストレートネックは、年齢のせいだけではありません。体の使い方を少し変えるだけで、首や肩の負担は軽くできる可能性があります。
首を整える第一歩は、首だけを見ることをやめること。
姿勢全体から、無理なく整えていきましょう。
執筆者
理学療法士:株式会社ループネス代表取締役


